1. はじめに
10代のあなたは、将来、お金を増やしたいですか?それとも、減らしたいですか?
増やしたいと思った、あなたは、数学の「確率」「期待値」について、簡単に知っておく必要があります。
「えー、数学の勉強!」と思ったかもしれません。
でも、ほんの少し「確率」と「期待値」の知識を持っていることによって、大事なお金を減らさずに済むのです。
パパは昔、宝くじを買っていました。しかしながら、これは、お金を増やしたいならば、やってはいけない、間抜けなおじさんの行動なのです。なぜでしょうか?
10代の自分の将来のお金のために、パパと一緒に「確率」「期待値」について、考えてみましょう。
2. 確率って何?
「確率」とは、あることがらが、どのくらい「確」かに起こりうるのかを「率」0%~100%もしくは0~1で表したものです。
10円玉を投げると、「表」か「裏」の2通りのうちどちらかが出ます。
「表」が出る確率は、全部で2通り中の1通りなので、確率1/2(2分の1)、もしくは、50%になります。
「裏」が出る確率も同様に、1/2または50%です。
1~6の目を持つ立方体の普通のサイコロについて考えてみましょう。
サイコロを振ると、全部で6通りの目の出方があるので、
- 1の目が出る確率は1/6(6分の1)
- 2の目が出る確率は1/6
- 3の目が出る確率は1/6
- 4の目が出る確率は1/6
- 5の目が出る確率は1/6
- 6の目が出る確率は1/6
となります。
サイコロを振って、偶数の目が出る確率はどうなるでしょうか?
サイコロの目全体「6通り」のうち、偶数の目というのは、2か4か6の「3通り」なので、偶数の目の出る確率は「3/6」(=1/2)、または、50%となります。
では、サイコロ2個を振って、ゾロ目(2個の目が同じ)になる確率は、どのくらいになるでしょうか?
1個のサイコロの目が6通りあるので、サイコロ2個を振ると、次の表の通り、全部で
6×6=36通り
の目の出方があります。
このうち、ゾロ目になるのは、1-1、2-2、3-3、4-4、5-5、6-6の6通りです。
したがって、ゾロ目となる確率は、全部で36通り中の6通りなので、確率6/36(=1/6)となります。
3. 期待値とは?
10円玉を投げて、表が出れば1000円もらえて、裏が出れば何ももらえないゲームを考えます。
あなたは、このゲームにいくらまでだったら、お金を払って参加したいですか?
表が出る確率が1/2(または50%)、裏が出る確率も1/2(または50%)なので、
1000円がもらえる確率が1/2(または50%)、何ももらえない確率も1/2(または50%)となります。
平均すると、このゲームは
(1000円 × 1/2) + (0円 × 1/2) = 500円
もしくは、
(1000円 × 50%) + (0円 × 50%) = 500円
のお金がもらえることになります。
この平均するともらえるお金の額を「期待値」と言います。
すなわち、「期待値」とは「平均」のことです。賭け事やゲームで言えば、お金を賭けて戻ってくる「見込み額」のことです。
このゲームに500円払って参加したあなたは、損も得もしません。
このゲームに500円より多い額で参加した方は、損します。
このゲームに500円より少ない額で参加した方は、得します。
4. 宝くじの期待値は?
若干古いデータですが、総務省のホームページ
https://www.soumu.go.jp/main_content/000084191.pdf
に宝くじ、競馬等の期待値(当せん金還元率)が掲載されています。
それによると、100円分の宝くじを買った場合の期待値は45.7円です。
2022/5/6~2022/6/3に販売されている第922回全国自治宝くじ「ドリームジャンボ宝くじ」の期待値を見てみましょう。
宝くじを1枚300円で1億2000万枚販売した場合、すなわち、販売総額360億円の場合の当せん金は次の表の通りです。
販売総額360億円のうち、179億9880万円(ほぼ180億円)が当せん金として支払われます。ほぼ半分が還元されていることが分かります。
したがって、このドリームジャンボを100円分買ったときの期待値は50円となります。
この数字を見て、すごくビックリして、これは、あっという間に貧乏になるかもしれないなと思った、あなたは非常に優秀です。
一方、宝くじは億万長者になれる夢を買えるとか、地方自治体に貢献できるので素晴らしいとか考えている方は、パパも否定しません。どんどん税金を納めて貢献を続けてください。
5. 期待値が低いものを買い続けるとどうなるのか?
100円分買うと、期待値50円になる宝くじについて考えます。
いま100万円持っていて、毎月、この宝くじに全額投入することにします。
すると、100万円は1年後には、どうなっているでしょうか?
何回も何回も、この宝くじを買い続けると、長い目で見て平均的には、期待値の額に落ち着いてきます。
1月、最初の100万円は、50万円に減ってしまいます。
2月に、その50万円を宝くじに注ぎ込むと、25万円に減ってしまいます。
これを12月末まで続けると、100万円あったお金は、244円になってしまうのです。
これは、
100万円 × (0.5)12
=244円
でも計算できます。1より小さい数の何乗というのは、ものすごく資産・お金を減らす効果があるのです。
これは、下記のブログ記事
で説明した「複利」のものすごい効果で資産を増やす話と、全く逆のパターンです。
6. 他のギャンブルは、どうなの?
若干古いデータですが、総務省のホームページ
https://www.soumu.go.jp/main_content/000084191.pdf
によると、100円を賭けたときに、戻ってくる額の期待値は、競馬、競輪、競艇、オートレースだと、75円です。
100万円を元手に、全額を競馬でかけ続けたら、12レース後にいくらになっているでしょうか?
1レース目で、100万円が75万円に減ってしまいます。
2レース目で、この75万円が75%の56万2500円に減ってしまいます。
12レースの結果、最初の100万円は、3万円まで、減ってしまうのです。
毎週1レースの競馬に賭けた場合、12週間、すなわち、約3か月で、100万円が3万円になってしまうのです。
公表されているデータはないですが、パチンコは、100円をかけると、85円くらい戻ってくるようです。
この場合、毎日、パチンコを続けたら、100万円は何日で10万円まで減ってしまうでしょうか?
上の表を見て分かる通り、14日=2週間で、100万円が10万円まで減ってしまうことが分かります。
7. もしギャンブルをやる場合の心得
今まで見てきたように、宝くじも、競馬も、パチンコも、平均的には大きく損するようにできています。
それは、当たり前のことです。そうしないと、ビジネスとして成り立たず、地方財政にも貢献できないからです。
ギャンブルをする場合は、胴元(ギャンブルやゲームを運営する会社・人)が平均的には必ず大きく勝つものだということを理解しておかなければなりません。
言い換えると、自分は平均的には大きく損するということをまず理解しておかなければなりません。
自分が儲けたいならば、下記の記事
でも書いたように、自分が胴元・売る側にならないと達成できません。
もしたまにギャンブルをしたい場合は、あくまでも、ゼロになってもいい余裕のお金で、旅行や外食のように、イベント自体を楽しむことが大事だと思います。
競馬好きの方の話など聞いていると、馬の血統や、芝の状態、長距離・短距離、馬の体重推移、過去レース結果など、相当分析しないといけないことがあるようです。
パパには分からない世界ですが、余裕資金で楽しむ程度なら、こういう分析を趣味にするのもありだとは思います。(但し、確率的には、お金が減る行動であることは間違いないですが。)
8. ガチャと期待値
もし、あなたが「ガチャ」のあるゲームを開発しているとします。
そのゲームのユーザーは、ガチャを1回回すのに、100円払わなければならないとします。
あなたは、このユーザーが1万円を使ってくれれば、最強SSSランクのキャラを1体あげてもいいという、1週間限定企画を作ろうと思いました。
さて、この最強SSSランクのキャラの当選確率は何%にセットすれば良いでしょうか?
答えは1%です。
1万円だとガチャが100回回せます。当選確率を1%に設定すると、ガチャを100回回せば期待値1回となります。
すなわち、1万円使えば、平均的に1回、この最強SSSランクのキャラが当たるのです。
9. 最後に
10代のあなたは、大人になってから、「確率」、「期待値」のことを全く知らずに、宝くじ、競馬、パチンコ、ガチャなどをやってはいけないことが分かったかな?
「期待値」を理解したうえで、全くギャンブルをやらないか、やったとしてもゼロになってもいい余裕資金の中で娯楽として楽しむレベルかにしてください。
さもないと、頑張って貯めた100万円があっという間になくなってしまいますよ。
「期待値」を理解して、お金の守りを固めましょう。
パパより