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将来の仕事のために10代がいまできること(まとめ)

1. はじめに

質問です。

10代のあなたは、将来どのようにお金を稼いでいくことになると考えていますか?

まだ、考えたことがないかもしれません。

自分で起業して、社長になって稼ぐというのはいい考えの一つだと思います。

しかしながら、パパ達の世代を見て、漠然と次のような考え:

「大学卒業して、就職活動して、希望の会社に入社し、定年までその会社で勤めあげ、定年後は貯金・退職金・年金で生活する。」

を持っていたら、注意が必要です。

2. 終身雇用・年功序列は続くのか?

終身雇用制度というのは、自分がある会社に入社したら、定年(例えば60歳)まで、その同じ会社で働き続けることができるという、日本特有の雇用制度のことです。

もちろん、その会社自体が倒産してしまったり、自身が何かルールを違反したりすることで、定年まで働けない場合もあります。

年功序列型賃金制度とは、会社に長く勤めれば務めるほど(年齢が高ければ高いほど)、給料が高くなっていく制度のことです。

会社に勤める社員としては、長い年月にわたり安定した収入が得られるメリットがあります。また、給料が上がっていくので、長く勤める意欲にもなります。

会社の経営者としては、給料が上がっていく仕組みのおかげで社員が退職しにくくなり、長期的に人材確保ができ、また、長期的に人材育成できるというメリットがあります。

一方、めったなことでは会社を首にならないため、あまり勉強・努力をしない社員も出てきます。また、ものすごく優秀な若手がいても、給料は低くなってしまいます。

会社の経営者としても、長く勤務しているというだけで、あまり優秀でない社員にも高い給料を払わなければならないということになります。

第2次世界大戦後の日本の高度成長期には、いろんなものの需要・消費が伸び続け、経済がぐんぐん成長していました。

このような環境では、終身雇用制度、年功序列が非常にマッチしていました。

しかしながら、昨今、日本の経済は長年停滞し、人口減少・高齢者率増加も進んでいます。また、時代の変化もデジタル化・AI(Artificial Intelligence、人工知能)化でどんどん早くなっています。

こんな環境下では、パパ世代の事務しかできないおじさん達よりも、デジタルに強い若手の方が必要なのです。

会社の経営者としては、そんな事務しかできないおじさんよりも、デジタルに強い若手にたくさん給料を払いたいのです。

2019年5月、経団連会長とトヨタ自動車社長が、「日本型の雇用制度(終身雇用や年功序列)は維持できない段階にきている」という主旨の発言をされました。

ここまで明言しなければならないくらい、厳しい環境になってきていると認識しなければなりません。

近年でも、NECが10,000人、富士通が14,000人、みずほ銀行が19,000人、日産が10,000人という規模の人員削減が行われています。

近い将来、終身雇用・年功序列が崩壊し、いま10代の方々が、大人になって活躍する頃には、「昔は終身雇用・年功序列なんていう制度があったな」というような環境に変わる可能性が十分あります。

3. 天才以外には大学卒業を勧めるわけ

いま日本だと、いろんな会社が新卒採用(=大学卒業生を卒業後すぐ企業に採用すること)をしているので、大学卒業間近に就職活動をして、希望の企業に入社するというのが世間一般の常識となっています。

日本の大学卒業はあまり意味がないという意見も最近はよく見かけるようになりました。アメリカの大学も経験したパパからすると、一利ある意見だとは思います。

日本の大学は入学するのは大変だけど、卒業するのは比較的簡単で、専門性を鍛えなくても卒業できてしまう仕組みになっていると思います。

一方、アメリカの大学は、卒業するのは大変です。授業出席、負荷の高い課題・レポート、テストなどをクリアしないと、卒業できません。その代わり、その分野の専門性は相応に身に付きます。

しかしながら、日本の大学卒業の利点として忘れてならないのは、「新卒採用カード」です。

即ち、大学を卒業するだけで、新卒として、会社に正社員として就職できるチャンスがものすごく高まるのです。

一部の天才やスーパーマンには、大学卒業の新卒採用カードは不要だと思いますが、それ以外の人たちには、まずは大学卒業を目指すことをお勧めします。

もちろん、学生時代に起業した会社が軌道に乗った場合なども、大学に行く必要はないでしょう。

4. 海外の就職はどうなっているのか?

世界的に見て、新卒採用は、日本を含む一部アジアでしか行われていません。

海外では、毎年4月に新卒一括採用などはなく、必要になったときに、必要な能力を持った人材を、必要な人数だけ採用します。

海外では、新卒で就職したとしても、即戦力が求められます。したがって、大学で学んだ内容が、仕事に直結する場合が多いです。

法律を学んだら弁護士事務所、薬学を学んだら製薬会社、ITを学んだらIT会社などです。

また、海外の学生は即戦力の人材になるために、様々な企業が実施しているインターンシップ(その企業の仮社員として働いてみること)に参加して実務経験を積むことが一般的です。

長期のインターンシップは職歴として認められるため、インターンシップ完了時には、その証明書や、推薦状を取得しておきましょう。

インターンシップで能力が評価されれば、その企業に就職できるかもしれないし、その推薦状を使用して、他社に即戦力として採用されるかもしれません。

5. 日本の新卒採用はどうなっていくのか?

前段では、新卒採用カードがあるので、大学卒業を推奨しました。

ただ、いま10代の方は、この新卒採用カードがいつまでも続くわけではない、と考えなければなりません。

日本雇用の三種の神器「新卒採用、終身雇用、年功序列」の後半2つの終身雇用、年功序列については崩壊するかもしれないと前回説明しました。

いまは新卒採用も危うくなっています。

海外では、新卒採用カードはなく、新卒でも即戦力が求められることは説明しました。

日本でも、この海外と同じような採用形態になる時期が刻々と近づいています。

例えば、日本でも、IT、デジタライゼーション、データサイエンスといった人材は、昨今、どこの企業でも欲しい人材です。

IT、デジタライゼーション、データサイエンスといった人材を育てている大学の研究室に所属している学生は、企業からのオファーが引く手あまたで就職に困りません。(もちろん、勉強も大変だと思いますが。)

また、YouTube、Twitter、Instagramなどの登録者・フォロワーが多いインフルエンサーの学生も企業から引く手あまたです。

すなわち、偏差値の高い大学を出たから、良い企業に就職できる時代ではなく、いかにその学生が即戦力なのかを評価する時代に移ってきていることが分かります。

2022年5月6日の日経新聞の記事によれば、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行は、2022年度は中途採用を8割増やし、新卒採用重視から転換していく計画となっています。

金融サービスのデジタル化や犯罪対策、気候変動対策など即戦力の専門人材を強化するのが、その理由です。

まさに、いまの10代の方々は、新卒採用を目指すにしても、起業するにしても、自分の専門性を高めなければいけない時代になってきているのです。

6. 会社と社員との関係は、将来どうなっていくのか?

人間の平均寿命はだんだん延びており、いまの10代の方々の寿命は100歳を超えるかもしれないと言われております。

60歳から支給されていた年金も、65歳、70歳、75歳とどんどん後ろ倒しにされています。

将来、高齢者の定義も60歳超から、70歳超、更には、80歳超に変わっていくかもしれません。

人間の寿命が延びる一方、変化の激しいビジネス環境の下、企業の寿命は逆に短くなっていきます。

仮に、いまの10代の方々が、22歳から72歳まで50年働くと考えたとき、50年もビジネスを伸ばし、倒産しないでやっていける会社はどのくらいあるでしょうか。

極めて少ない可能性が高いと思います。

例えば、デジタルカメラの登場に押された、カメラフィルムの会社は、大きな会社でもコダックのように倒産するか、富士フィルムのようにビジネスモデルを大幅に転換して、どうにか生き残るしかありませんでした。

ビジネスモデルを転換すれば、求められる社員のスキルも変わってしまいます。

他の例としては、パパは2005年くらいから数年、当時流行していた、Blackberryという携帯電話を使用していました。

ところが、iPhoneやAndroid携帯に押されて、今や見る方もなくなりました。

したがって、企業の寿命という観点からも、一つの会社に終身雇用で勤めるというのは、現実的ではなくなってきているのです。

終身雇用・年功序列時代は、会社と社員の関係は、雇用が守られる代わりに、会社の都合に合わせて、部署異動・国内外転勤が行われてきました。

今後は、プロ人材である社員と会社が、まるで会社と会社の間の関係のように、対等に付き合っていく時代になっていくでしょう。

また、同じ仕事をしていても、正社員と派遣社員で給料が異なるとか、勤続年数が長いだけで給料が高くなるとか事象は是正されていくでしょう。

すなわち、同じ仕事、同じプロ度、同じ成果の人には、同じ賃金を支払う世界になっていくと思います。

パパ世代のおじさん達には厳しいですが、10代の方々にとっては大チャンスです!

7. 10代にできることは?

まずは、いろんなことにチャレンジし、自分が活躍できる分野を見つけることです。

親の収入に頼っていられる間に、また、18歳で成人になる前に、好きなことや思いついたことに、いろいろ挑戦してみましょう。

ブログ・SNS・YouTubeで情報発信したり、少しお金を稼いでみたりしてもいいと思います。

ニッチな分野でもいいので、プロとして成果の出せる、自分のスキルを磨ける分野を見つけていきましょう。

勉強も大切です。就職に全く困らない人気の大学の研究室に入るには、まず大学入試を突破しなければなりません。

また、英語、数学、統計、物理などの知識があると、プログラミング、データサイエンス、マーケティングなどに役立ちます。

森岡毅氏が数学力を活かしたマーケティング戦略で、‎大阪のUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)を復活させたのは有名な話です。

いろんなことにチャレンジしながら、勉強も頑張っていきましょう。

チャレンジすることに必要なことを勉強し、それを実践し、また、追加で必要になったことを勉強するというようなループがあれば最高です。

是非、勉強もチャレンジも、楽しく頑張っていきましょう。

8. 最後に

いまの10代の方が社会に出て活躍する頃には、

日本雇用の三種の神器「新卒採用、終身雇用、年功序列」が崩壊し、

「大学卒業して、就職活動して、希望の会社に入社し、定年までその会社で勤めあげ、定年後は貯金・退職金・年金で生活する」という常識はなくなる可能性がある

と書きましたが、パパの予測は外れるかもしれません。

しかしながら、そんな可能性もあるということは頭に入れておいてください。

10代のうちから、プロフェッショナル分野を作るという意気込みをもって生活していけば、社会に出てからも活躍していけるでしょう!

パパより