1. はじめに
「恥をかくこと」を悪いことと思っていないかな?
確かに、恥をかくようなことが起これば、恥ずかしいですし、あまりしたい経験ではないかもしれません。
でも、自分の成長には、恥をかくことが非常に重要なのです。
10代のあなたに、素晴らしい公式「成長=恥をかいた回数」を伝授します。
2. 日本経済低迷の要因
日本は、1980年代に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」として世界から称賛されましたが、1990年代のバブル崩壊以降、パッとしない低成長が続いています。
この原因の一つとして、日本では新ビジネスの起業が少ないことが要因として挙げられています。
10代の方々の多くが公務員や会社員を目指してしまって、起業など全く考えていない人が多くなってしまっているのが日本の現状です。
世界の経済をけん引しているアメリカなどでは、優秀な人ほど起業するというのが一般的な考え方です。
この日米の差はどこから来るのでしょうか?
いろいろ要因はあると思いますが、大きな要因の一つが「日本人の多くが恥をかくことを恐れていること」だと、パパは考えています。
3. 日本人が恥を恐れる要因(その1)
なぜ、日本人の多くは恥をかくことを恐れているのでしょうか?
それには、日本の長い歴史の流れが関係していると思います。
(1) 武士道
昔の五千円札の肖像となっていた新渡戸稲造の有名な著書に「武士道」があります。
この著書「武士道」は、日本の「武士道」を欧米に紹介する目的で、1899年にアメリのフィラデルフィアで、英語で刊行されました。
思想家・教育家として著名な新渡戸稲造が、日本人の道徳観の核心となっている「武士道」について、西欧の哲学と対比しながら、日本人の心のよりどころを世界に向けて解説した著作です。
その「武士道」では、恥の感覚は、青少年の教育で大事に育てるべき最初の徳の一つでした。
「笑われるぞ」、「名が汚れるぞ」、「恥ずかしくないのか」といった句は非行青少年の行動を正すための最後の訴えでした。
また、「羞恥(しゅうち。恥ずかしく思うこと)の感覚は、人類の道徳的自覚の最も早き兆候である」と述べ、さらに、「恥はすべての徳、良き風儀ならびに善き道徳の土壌である」と述べています。
すなわち、「武士道」の中心には「名誉」「恥」がありました。この「名誉」「恥」というのは、子供の頃から身体に叩き込まれるべき最初の徳だったのです。
4. 日本人が恥を恐れる要因(その2)
(2) 論語
2024年から新しく発行される一万円札の肖像は誰になるか知っているかな?
そうです。近代日本経済の父である渋沢栄一です。
渋沢栄一の有名な著書に「論語と算盤(ろんごとそろばん)」があります。
1万円札の肖像になるくらいの偉人が大事にしていた書物が「論語」なのです。
「論語」は孔子(こうし)とその高弟の言行を、孔子の死後に弟子が記録した書物です。
その内容の簡潔さから儒教入門書として広く普及し、中国の歴史を通じて最もよく読まれた本の一つで、古くからその読者層は知識人に留まらず、一般の市民や農民の教科書としても用いられていました。
「儒教」とは、孔子が始祖として目される、中国やその周辺の東アジア諸国で信仰・研究されていた宗教、学問、および、古代から伝わる神話や制度、習俗などの集合体のことです。
孔子は「論語」で、「恥」が悪から善に向かわせる内面的な動力であると説き、恥の観念は、道徳や礼儀によって養われる内面的な倫理意識であると述べました。
儒教が中国の正統思想として公認されるようになると、この廉恥(れんち。心が清らかで、恥を知る心のあること)の徳は儒教中心道徳とされ、儒教を「廉恥の教え」と呼ぶようになりました。
「恥と名誉は互いに表裏をなしている。名誉を失うことが恥であり、不名誉はそのまま恥である」と説かれています。
このように、日本では、長い歴史のあいだ、
「恥」=「不名誉」
という公式が刷り込まれているのです。
5. 『「恥」=「不名誉」』が行き過ぎるとどうなるのか?
儒教・論語、武士道などを通じて、日本の歴史で長いあいだ、刷り込まれてきた公式
「恥」=「不名誉」
には、良い面がたくさんあります。
しかしながら、行き過ぎると支障をきたす考え方でもあるのです。
「恥」=「不名誉」の気持ちがあまりに強くなりすぎると、チャレンジ精神が奪われてしまうのです。
新しいことに挑戦した場合、10回に9回くらいは失敗します。
失敗して恥をかきたくない、不名誉になりたくないと考えると、新しいことにチャレンジしないことが最善となってしまうのです。
以前の記事で、プロダクト・ライフサイクルについて説明しました。
S字カーブの成熟期・衰退期に、新商品・新ビジネスを産み出していかないと、会社は倒産してしまいます。
すなわち、そんな会社ばかりだったら、日本は衰退していくしかなくなってしまうのです。
日本人の多くが「恥」=「不名誉」の考えを重視し過ぎて、新しいことにチャレンジしなくなったら、日本は衰退していくしかないでしょう。
6. 『「恥」=「不名誉」』から『「成長」=「恥をかいた回数」』へ
パパが社会人になってから実践を続けていることがあります。
それは、「分からないことは質問する」ことです。
「何それ?あたりまえじゃん」と思ったかもしれません。
自分から、ものすごい若手に質問したり、セミナー会場で大勢の中で質問したりします。
正直、恥ずかしいときも多いです。
相手に「こんな基本も知らないの?」というような態度をされてしまうことも多々あります。
でも、この恥をかいた分、確実に自分が成長できるのです。
すなわち、恥の新公式
「成長」=「恥をかいた回数」
が成立するのです。
新しいことへのチャレンジに関しても同じです。
新ビジネスの立ち上げに挑戦して、初めの9回失敗して恥をかいても、10回目で大成功するかもしれません。
その失敗すらも、自分がバカだった部分の認識や、共通する失敗原因の発見等、自分の成長につながるのです。
ケンタッキー・フライドチキンの起業で有名なカーネル・サンダースは、65歳ですべてを失いました。
そこから、「自信のあるフライドチキンのレシピを教える代わりに、販売したチキン1本あたり5セントを受け取る」という契約を取るため、レストランに飛び込み営業を続けました。
1009回失敗したのち、やっと契約を締結することができ、いまの巨大なケンタッキー・フライドチキンとなって大成功を収めるのです。
65歳からでもできるのだから、パパもまだまだチャレンジできると考えています。自分の人生、いまが一番若いのです!
このブログを始めたのもチャレンジの一つです。
7. 何をすればいいのか?
まずは「恥」を恐れすぎないことです。
「恥」は成長のガソリンなのです。
分からないことがあったら、学校の先生、塾の先生、親などに、どんどん聞きましょう。
そのときは恥ずかしくても、確実に自分の成長につながるのです。
また、質問は早ければ早い方がいいです。後になればなるほど、こんなことも知らないのかという恥の度合いが上がってしまうからです。
学校・塾で静かに授業を受け、真面目に宿題をやるより、分からないことをすぐ質問することの方が、これからの人生を考えても大事なことなのです。
「他人に迷惑をかけてはダメだ」というのも概ねは正しいのですが、行き過ぎはダメです。
人間誰しも、結局は他人に迷惑をかけて生きているのです。
もし自分が新しいことにチャレンジして、親・親戚、学校・塾の先生・友達、近所の人に多少迷惑をかけてしまっても良いのです。
もちろん、法律は守るべきですし、他人に重傷を負わせてしまうというようなレベルのものは、当然ダメですが。
チャレンジ精神を失う方が、日本、世界にとって、損失が大きいことなのです。
8. 最後に
自分の成長のために、日本・世界の未来のために、積極的に「恥」をかきましょう!
恥をかいた分は、必ず成長できます。
分からないことは、すぐ質問するクセをつけましょう。
分からないことを質問せずに、恥をかかないようにかっこつけていると、成長できません。
また、自分が知っていることを、他人が質問しているのを聞いた場合、「あいつ、そんなことも知らないのかよ」と優越感に浸るのではなく、「あいつは質問できて偉いな。俺も次、わからないことがあったら質問しよう」と考えましょう。
恥を恐れすぎると、新しいことにチャレンジできません。
新ビジネスを起業したいのに、失敗・恥を恐れて、本ばかり読んでいても仕方ないですし、ブログを始めたいのに、始め方の勉強ばかりしていても、何も進まず、成長できないのです。
とにかく、失敗して恥ずかしいことを恐れずに、行動してみるのです。
それがあなたの人生を切り開くことでしょう。
パパより