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なぜ10代のあなたは、過去問対策だけでは高校・大学に合格できないのか?(まとめ)

1. はじめに

高校入試・大学入試の受験勉強をするうえで、志望高校・志望大学の過去問を勉強することは、最重要事項の一つです。

しかし、いま10代のあなたは、いま売られている過去問が合格点レベルまで解けるようになっても、合格できない可能性が高いです。

なぜなのでしょうか?

それは、文部科学省が定める「学習指導要領」が変わったからです。

学習指導要領が変わるということは、勉強する範囲が変わることを意味します。

したがって、高校入試・大学入試の試験問題が変わることになるのです。

2. 現代社会からの要請

まず、現代社会が何を要請しているかについて考えます。

なぜなら、その要請に応じ、大学への要望が変わり、大学への要望が変われば、高校への要望も変わるのです。

その結果、学習指導要領、入試問題も変わるのです。

(1) IT

現代社会が要請しているものとして、まずITが挙げられます。

理系でなく、文系であっても、最低限のIT知識が必要な時代になっています。

プログラミング、人工知能、機械学習、YouTube等の動画作成・編集、ホームページ作成、データマイニング、メタバース関連等、必要な分野には事欠きません。

(2) 暗記力より創造力

昔は、何か一つでも新しい情報入手するには、結構手間がかかりました。

そんな中では、いろんな知識が頭に入っている人の方が、圧倒的に有利に仕事が進められたのです。

しかしながら、今は、全く知識がなくても、Google先生に聞けば、ある程度のレベルのことまでは、簡単に調べることができてしまうのです。

したがって、暗記力より、大量の情報から必要な情報を整理し、その必要な情報から自身の新しい考えを創造していく力の方が重要になっているのです。

(3) 使える英語

最近、企業は英語の試験の点数が高いだけの人でなく、実際に英語を使える人を求めるようになってきています。

下記の記事「まだ英語の勉強は始めるな!10代のあなたが最初にやるべきことは?」でも書きましたが、日本でも英語が使える人を欲する時代に突入し始めているのです。

また、会社によっては、日本の会社なのに、社内公用語(会社で使用する第1言語)を日本語ではなく、英語に変えている会社もあります。

3. 日本の企業の英語対応

(1) 英語を社内公用語にしている企業

英語を社内公用語にするということは、その会社で一番最初に使われる言語は英語ということです。

すなわち、会議をするのも英語、書類作成も英語、Eメールも英語ということです。

もちろん、日本人だけしかいない会議は、資料は英語だけど、日本語で話すというようなことはあるかもしれません。

英語が社内公用語の会社では、英語ができないだけで、仕事ができない社員になってしまうのです。

英語ができないと、出世もできないし、給料も上がらないのです。

英語を社内公用語にしている企業で有名なのは、楽天やユニクロです。

最近、シャープも英語を社内公用語にすると発表しました。

三井住友銀行は総合職全員、TOEIC 800点を取得しなければなりません。また、三菱商事や三井不動産は、総合職全員、TOEIC 730点を取得しなければなりません。

日本電産は、課長代理以上への昇格には、外国語1つ、部長以上への昇格には外国語2つを取得することが条件となっています。

他にも、サイバーエージェント、ブリヂストン、アサヒビールも英語社内公用語化を準備中です。

(2) 英語を使える人を重視

TOEICといえば、通常、TOEIC(L&R)のこと、すなわち、ListeningとReadingの990点満点のテストを指しています。

しかし、Listeningの聴く力と、Readingの読む力のテストだけでは、会議や電話で英語を「話せる」のか、また、Eメール・チャット・書類を英語で「書ける」のか分かりません。

最近、TOEIC(L&R)だけでなく、TOEIC(S&W)のように、Speaking(話す力)とWriting(書く力)も重視する企業が増えてきています。

東京オフィスのエンジニアリング組織の半数が外国籍社員という「メルカリ」では、求人募集に記載する英語レベルをTOEICから国際的な指標CEFR(セファール)に変更しました。

また、独自開発のスピ─キングテストも導入して会話レベルを判定しています。

CEFRとは、Common European Framework of Reference for Languages(外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠)の略です。

CEFRは、言語の枠や国境を越えて、外国語の運用能力を同一の基準で測ることができる国際標準です。

下記の表を使えば、英語で必要な4つの力(Listening、Reading、Speaking、Writing)が把握できるのです。

<引用元:文部科学省ホームページ>

https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/03/__icsFiles/afieldfile/2019/01/15/1402610_1.pdf

4. 入試科目「英語」への影響

こんな現代社会からの要請を受け、小学校から高校までの英語の学習指導要領(勉強すべき範囲)は拡大しました。

<引用元:文部科学省ホームページ>

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/__icsFiles/afieldfile/2017/11/24/1398488_6.pdf

覚えなければならない英単語の数は、小学校で600~700語、中学校で1600~1800語、高校で1800~2500語、合計4000~5000語となりました。

また、中学校の英語授業は、英語で行うことを基本とすることになっています。また、今までより話す、書くことの重要度が上がっています。

また、メルカリが英語基準をTOEICからCEFRに変えましたが、学習指導要領でも、高校卒業時にCEFRでA2、B1、B2レベルまで目指すことが明示されています。

入試への影響はどうでしょうか?

既に中学入試では、英語を選択科目としている中学校が増加を続けています。

東京都立高校入試では、2023年度から英語スピーキングテストが導入されます。

大学入試も、2024年度から、英語資格検定試験の利用が開始される可能性があります。

今後、今はあまり無いスピーキングのテストを入試に取り入れる学校も増えていくでしょう。

また、例えば、高校入試でいえば、旧学習指導要領では、中学生で勉強する単語数は1200語でしたが、新学習指導要領では、小学校・中学校合計で2200~2500語、覚えなければなりません。

当然、英語の入試問題は難しくなることが予想されます。

5. 大学入試の大きな変化

大学入試の大きな変化としては、大学入学共通テストの新科目に「情報」が入ることです。

<引用元>

https://www.ipsj.or.jp/event/taikai/84/ipsj_web2022/html/event/pdf/maeda-20220305.pdf

まさに、現代社会からの要請を受けた新科目です。

独立行政法人大学入試センターのホームページに新科目「情報」の参考問題がありますので、興味があれば目を通してみてください。

https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7ikou.html

6. 高校入試・大学入試の対策

いままで見てきたように、入試の英語は難度が大きく上がることが予想されます。

単語をしっかり覚えると共に、Reading、Listeningはもちろんのこと、新学習指導要領対策として、Speaking、Writingも鍛えておく必要があります。

また、新科目「情報」についても、普段からIT系に興味を持ち、知識をつけていきましょう。

高校入試、大学入試の過去問を解く際、注意しなければならないのは、「旧学習指導要領範囲の古い過去問は、今までより役に立たなくなった」ということです。

「より重要なのは、これから出てくる新学習指導要領範囲の新しい過去問を解くこと」になっていきます。

7. 最後に

いま売られている入試の過去問が合格点レベルまで解けるようになっても、合格できない可能性が高い理由が分かったかな?

学習指導要領(勉強する範囲)が新しくなったので、それに合わせて勉強しなければなりません。

中学3年生や高校3年生になって過去問を解く際には、古い旧学習指導要領のものか、新しい新学習指導要領ものか、しっかり把握しましょう。

古い旧学習指導要領の範囲の過去問は参考程度にしましょう。本当に重要なのは、新しい新学習指導要領に対応した過去問です。

高校入試、大学入試で一番影響があるのは、パパは「英語」と「情報」と考えています。

しっかり準備を進めましょう。

パパより