1. はじめに
メタバース(Metaverse)という言葉を知っているかな?
「メタ(meta。超越、一段と高い階層の)」と「ユニバース(universe。宇宙、世界)」を組み合わせて作った造語です。
まだ正確な定義は無いけど、特に10代のあなたにとっては、今後、非常に重要になるキーワードです。
メタバースとは、コンピュータネットワークの中に構築された、現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそのサービスのことを指します。
2. 10代のあなたに、なぜメタバースが関係あるのか?
10代のあなたは、現金、または、現金をチャージしたカード・携帯電話で、スーパー、コンビニ、ユニクロで買い物しています。
そのうち、クレジットカードを持てるようになれば、Amazon、楽天、Yahoo!ショッピング、ユニクロオンラインなどで買い物するようになるでしょう。
また、将来、海外の大学に留学し、一人暮らしを始めるために、賃貸マンションを借りるかもしれません。
メタバース世界(3次元仮想空間)が発展すると、将来、
メタバース世界の中のあなたのアバター(自分自身の分身)が、
メタバース世界の中のお金を使って、
メタバース世界の中の賃貸マンションを借り、そこに住み、
メタバース世界の中の洋服を買って,
メタバース世界の中の映画を見て生活するのです。
パパの世代が理解できなくても、いまの10代の人たちにとっては、そんな世界があたりまえになる未来が近づいてきています。
3. メタバース世界の中のものにお金なんて払う必要があるの?
この世の中、みんなが価値があると認めたもの、みんなの信用があるものには、お金を払う必要があります。
例えば、土地。原始時代は土地に値段などついていませんでしたが、いまの世界では、住む土地を買うには、お金が必要です。
他には、1万円札。1万円札を作成するコストは17円ですが、みんなが信用し、価値があると思っているので、1万円の価値があることになっています。
金(きん)やダイヤモンドも、それが無いと生きていけないというわけではないですが、希少性があり、保存性に優れ、きらびやかで、みんなが価値があると思っているので、非常に高価なものとなっています。
インターネットのドメイン(このブログでは、「https://luppyblog.com/」)も、ただのコンピュータネットワーク上のデータですが、取得するのにお金を払っています。
ただのコンピュータネットワーク上のデータだからって、みんなが価値があると認めたものには、お金を払わなければならないのです。
メタバース世界の中の賃貸マンションや洋服も、ただの3次元のデータにすぎないかもしれませんが、みんなが価値があるものと思ったとたん、お金を払わないと買えなくなるのです。
これからデータ転送速度や処理速度がもっと早くなり、誰もがメタバース世界で買い物するのが常識になっていくと、3次元のデータにも価値が出てくるのです。
4. 10代のあなたもNFTで稼げるかも
NFT(Non-Fungible Token、非代替性[ひだいたいせい]トークン)とは、ざっくり言うと、この世に一つしかないと証明付きのデジタルデータ(画像・動画・音声など)のことです。
インターネット上には、無料で入手できたり、コピーできたりしてしまう画像や動画がたくさんありますが、NFTは本物は一つだけという仕組みを持っているのでコピーできません。
そんなデータ、本当にお金を払って取引されるの?と疑問を持っているかもしれません。
いくつか代表的な取引事例について説明したいと思います。
① Everydays – The First 5000 Days (75億3千万円)
デジタルアーティストであるBeeple(本名:マイク・ヴィンケルマン)が5000日間かけて制作したデジタルアート作品のNFT「Everydays – The First 5000 Days」が、2021/3/11に6935万ドル(=75億3千万円)で取引されました。
② CryptoPunks #7804(8億1400万円)
2017年にNFTのパイオニア作品として登場した1万体のCryptoPunkのうち、7804体目の、帽子をかぶり、サングラスをかけて、パイプを吸っている、青緑色の顔のNFTが、2021/3/10に4200イーサリアム(=8億1400万円)で取引されました。
※イーサリアムというのは、仮想通貨(Cryptocurrency)の一つで、NFT取引と非常に相性の良い仮想通貨。ここでは、説明を割愛します。
③ Twitter CEOの初ツイート(3億1600万円)
TwitterのCEO(Chief Executive Officer、最高経営責任者)のジャック・ドーシー氏による、Twitter史上初となるツイートのNFTが、2021/3/22に291万5835ドル(=3億1600万円)で取引されました。
④ ゲームAxie Infinity内の土地(1億6000万円)
遊んで稼げる(Play to earn)ゲームである「Axie Infinity」内の土地一区画が、2021/2/8に888.25イーサリアム(=1億6000万円)で取引されました。
⑤ 日本人の小学3年生の自由研究(380万円)
2021年、日本人の小学3年生Zombie Zoo Keeper(別名:ゾンビ飼育員)さんが夏休みの自由研究で作成したNFTアートを8/25から販売し始め、9/9時点で380万円の総取引額となりました。
Zombie Zoo Keeperさんは、12歳の子供の描いたNFTアートが高額で購入されたニュースをきっかけに、自分も、大好きなゲームであるMinecraftのゾンビを題材にしてNFTを始めてみました。
上記の5つの事例の通り、デジタルデータに値段がつく時代が着実に近づいているのです。
本やゲームなどで、中古品を再販売する場合、本の著者やゲーム制作会社には、お金が入りませんが、NFTの場合、いろんな人に転売されて値段が上がっていくと、その値段が上がった部分に対して、製作者にきちんと還元できる仕組みもあります。
したがって、ものを作り出すクリエイターの人たちにとっては、NFTはすごくありがたい仕組みになっているということも頭の片隅に入れておきましょう。
5. メタバースの時代は本当に来るの?
メタバースの時代が本当に来るのかは、素人のパパには分かりません。
しかしながら、世界最高レベルの人材と資金を誇るGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)やMicrosoftの動きをみると、かなりの確率でメタバースの時代は来ると思います。
まず、2021/10/28にFacebookは社名をMeta Platformsに変更しました。これは、今後メタバース開発に力を入れるためです。
このFacebookとAmazonは、メタバースを有望分野と見込んで、兆円単位の投資を計画しています!
また、Microsoftは、2022/1/18に、ゲーム開発大手Activision Blizzard社を687 億ドル(=7兆8千億円)で買収することに合意したと発表しました!
今後、3Dゲーム空間からメタバースという流れは、メタバース事業の重要な構成要素の一つになっていく可能性があります。
今後、下記のゲームなどの動向には、注意をしておいた方がいいかもしれません。
- Fortnite
- Decentraland
- The Sandbox
- Cryptovoxels
- Axie Infinity
- ファイナルファンタジー
- あつまれ動物の森
6. ムーンショット目標
もう一つ、メタバースの時代が来る確率を上げる情報が、内閣府が発表している「ムーンショット目標」です。
<ムーンショット目標のリンク>
https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/target.html
この目標1には、「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」と掲げられています。
これは絵空事ではなく、日本政府の公表する目標なのです。もう少し具体的には、
<2030年までに>
- 1つのタスクに対して、1人で10体以上のアバターを、アバター1体の場合と同等の速度、精度で操作できる技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。
- 望む人は誰でも特定のタスクに対して、身体的能力、認知能力及び知覚能力を強化できる技術を開発し、社会通念を踏まえた新しい生活様式を提案する。
<2050年までに>
- 複数の人が遠隔操作する多数のアバターとロボットを組み合わせることによって、大規模で複雑なタスクを実行するための技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。
- 望む人は誰でも身体的能力、認知能力及び知覚能力をトップレベルまで拡張できる技術を開発し、社会通念を踏まえた新しい生活様式を普及させる。
と書かれています。
2030年までに、1人で10体以上のアバターを操作できる技術、および、その基盤を構築することが目標として掲げられているのです!
日本政府の2030年、2050年の目標であり、10代の方には影響のある話なので、是非、内閣府のムーンショット目標に、一度、目を通しておくことをお勧めします。
7. 10代で準備できることはあるの?
10代でできることはたくさんあると思います。
デジタルアートに興味があれば、NFTアート作成に挑戦して、パパと協力して販売してみてもいいかもしれません。
また、下記のゲームなどの最新動向を常にウォッチしておき、自分で稼げそうだったらチャレンジしても良いかもしれません。
- Fortnite
- Decentraland
- The Sandbox
- Cryptovoxels
- Axie Infinity
- ファイナルファンタジー
- あつまれ動物の森
他には、3D仮想空間上で、アバターを作成できたり、建物を作成できたりすると、将来、それが大きな収入源、自分の仕事(未来のデザイナー、建築家)になるかもしれません。
その意味では、
- Unity
- Blender
- Unreal
などのプログラミング言語に取り組んでおくのも良いでしょう。
かつて、ウォルト・ディズニーがディズニーランドを築き上げたように、10代の方は、自分がメタバース世界で、「メタバース・ディズニーランドを作ってやるんだ」くらいの意気込みを持ってもいいかもしれません。
時代の進歩は早まっているので、数年もしたら、10代の方々が、年収数千万円もらっている技術者と同等のものを難なく作り上げてしまうなんてことも十分起こり得ることだと思います。
8. 最後に
今くらいにメタバースが盛り上がるずっと前、2003年に「セカンドライフ」というメタバースが立ち上がっていましたが、通信速度の遅さから、あまりうまくワークしませんでした。
商売・ビジネスでは、人より一歩前に進んではダメです。半歩くらい前に進んでください。
前に進みすぎると、周囲・環境がついてこられず、素晴らしいアイディアでも、商売・ビジネスがうまくいかないのです。
お金儲けのことは考えず、純粋に研究をしたく、また、研究資金にも問題がないなら、周囲・環境のことは考えず、突っ走ってください。
研究論文や特許などは、一番で発表しないと意味がないので。
まとめると、お金があって研究が好きなだけなら、どんどん突っ走っていいけど、楽しいことに挑戦しながら、お金も稼ぎたいなら、タイミングも考えると良いでしょう。
メタバースなんて、まったく流行しない可能性もありますが、未来の常識になる可能性も秘めています。10代の方はしっかりフォローしていきましょう!
パパより